なぜこのアドベントカレンダーを始めたのか?-半径数十メートルの概観-
これは Japanフェミニズム Advent Calendar 2018 - Adventar 1日目の投稿です。
はじめまして!都内某IT関係企業に勤務している
杉田水脈辞任希望 @sugitaresign というものです。
杉田水脈の話は追い追いやります。
→しました
日本の女性議員の少なさと諸問題ー名誉男性議員の台頭ー - フェミニズムは素晴らしい
*なぜフェミニストがAdventCalenderを始めたのか
フェミニズムに興味ない、あるいは懐疑的な層に伝える手段はないかと考えた結果、
ITエンジニアが関心を持つAdventCalenderがあるな!と気付きました。
ジャストアイディアすぎてもう今日12/8です。大遅刻もいいとこです。
自分で完走してもいいさと思いつつ更新がんばります。
*まず、ITと性差別を自分の半径数メートルで概観
現在、私は某渋谷なり六本木なりのそこそこ知名度はあるIT関係企業に勤務しています。
これまでフェミニストとしてIT企業に在籍し、性差別について思うのは
「そこまで悪くない」です(ただし自分の会社が恵まれている可能性大)。
職場には男女同じくらいいると思います。エンジニアは男女9:1、ディレクターは7:3、デザイナーは5:5、さらにCSやバックオフィス職が女性率高し。
産休育休挟んで復職する女性は多いですし、妻と子のために育休を取るという男性社員もゼロではない。
多分こういうところはほかの業界よりは進んでいるんだと思います。
ただ、役員級はほぼ男性なんで私から見ればまだまだなんですが…。
寿退社だったりマタハラだったりとほかの業界にはありがちな問題は
少なくとも弊社ではまれだと思います。
ただ、IT関係といっても広いですし全てが正しい訳じゃない。
実際、転職する前の会社(こちらは中小IT)には寿退社される方もいました。
そんな恵まれたほうの弊社であっても
・役員レベルに女性が少ない
・子持ちの男性社員全員が育休を取っているわけじゃない
という時点で真に男女平等な環境とは思えません。
さらに、(これは弊社に限らずですが)エンジニアの中のミソジニーとホモソーシャルという問題があります。これは次回のテーマとして、
とにかく今回言えるのは
・IT関係の企業で産休・育休が取りやすくても役員級の男女比率は男性が圧倒的に多い事実
・母親は育休をフルで取るが父親が育休を取るケースは少なく、あっても2か月程度
・つまりまだまだ改善の余地はある
この3点。
さらに次回「エンジニアの中のミソジニーとホモソーシャル」に触れていきます。
「生理」「更年期障害」をからかいのネタにするな
これは Japanフェミニズム Advent Calendar 2018 - Adventar 5日目の投稿です。
上沼恵美子さんへの侮辱をインスタでライブ配信したお笑い芸人に非難が殺到し、謝罪した出来事が記憶に新しい。
こうした出来事、特に「更年期障害じゃないのか」という侮辱は私にも似た経験があり、とても腹立たしかった。
この件に対して私は上沼さんのためではなく、個人的な経験のために怒りを噴出させることをまず明示する。
今年の冬(つまりほぼ去年に近い)、路上喫煙者と口論になったとき
こちらは喫煙禁止の場所で吸うなと当たり前のことを主張しているのに対し、
相手は「生理中か?」「ガイジか?」「在日か?」と逆にこちらに原因のあるような、さらに言えば差別思想に基づいた煽りをしてきた。
あまりにも腹が立ち私は持っていた鞄を相手に振り上げ、結果警察沙汰になり、
最終的には警察の仲裁のもと、和解という形に至ったわけだが
駆けつけてきた警察官は2人とも男だったし「生理中か」等の許しがたい煽りをされたことについてはにふーんそう、程度の反応を返されたのには絶望した(他二つは今回は置いておくがこの二つもだいぶ差別的であり看過することはできない。生理中に加えてこの二つを煽りとして使ってくる男が現代日本に生息している、という事実が伝わればそれでいい)。
今回の件もそうだ。女性がなにか強い主張をしたら、相手が若ければ「生理中か?」相手がそれくらいの年代だと判断した場合は「更年期か?」とのたまう。
マジレスすると生理中で生理痛がひどいときは路上喫煙の注意に割く元気などない(あくまで自分の場合だが)非常に馬鹿馬鹿しいが相手が馬鹿だとこういうことになる。
「女性に年齢を聞くのは失礼」と同じ、いやそれ以上に女性へ「生理中か?」なり「更年期障害か?」などと煽りを込めて尋ねるのは絶対悪だと認知してほしい。どんなに腹が立っていても、女性特有の問題で相手を貶めるのはただの侮辱である。
たとえ口撃のつもりでもやってはならないことだと認知していただきたい。
それは「お前インポなんだろ」であったり、「お前ヅラかぶってるだろ」くらいに下品で性差別的なレッテル貼りだ。
日本の女性議員の少なさと諸問題ー名誉男性議員の台頭ー
これは Japanフェミニズム Advent Calendar 2018 - Adventar 4日目の投稿です。
私は女性議員があまりにも少ない現状を嘆き、第二のキャリアとして今自分の属する自治体から出馬し議員になろうかと考えたことがあった。
しかし興味を持てば持つほど、今の日本で女性が議員になることの難しさをありありと知った。結果、議員になる道は今諦めている。
どんな課題があるかというと、「地盤、看板、カバン」の3つが女性には圧倒的に足りないことや、いざ当選してからも女というだけで議会で孤立したり、一般市民や先輩議員からの妨害行為を受けるなど風向きが非常に厳しいことなどが挙げられる。
「地盤、看板、カバン」は現行の選挙制度が悪い、供託金をなくせ という方向で議論を進めるしかないが、真に闇が深いのは妨害行為についてだろう。
北九州市議会の村上さとこ議員は着払いで化粧品やブラジャーを送り付けられる、といういやがらせの被害を受けているとTwitterで発信しているし、
村上さとこ@北九州市議会議員 (@murakamisatoko) | Twitter
最近は八王子市議会議員の佐藤あずさ議員の引退に関するFacebook上の投稿も反響を呼んだ。
引退表明とその後の反響について | 八王子市議会議員 佐藤あずさのホームページ
その後について/なぜ男性たちは惑うのか | 八王子市議会議員 佐藤あずさのホームページ
◆一部マスコミへの抗議のための「積極的断筆」/ホームページ、SNSの中止について | 八王子市議会議員 佐藤あずさのホームページ
(Facebookページは現在閉鎖されている。)
個人的には、もはやこの国を捨てて他国に移住したほうがよいのでは?と思い、まず留学に向けて準備をしている状態である。
この国で女性が政治に携われるのは、鉄の意志を持っているか、2世議員や有名人出身といった既に3バンがあるか、大型政党に支援された名誉男性か、の3ケースに限られる。私は杉田水脈辞任希望という名で活動しているが、それは杉田水脈が名誉男性であり、女性に対して害にしかならないと判断しているが故だ。
杉田水脈は女でありながらわかりやすく女の敵であるし、それ故に男性議員から持ち上げられる。男性議員が女を叩くより、女性議員が女を叩くほうがダメージは大きいのだ。
私はそうなれないと思うが女性議員には増えてほしい、しかし杉田のような名誉男性議員には消えてほしい。願わくば「鉄の意志」「3バン」がなくても女性が政治参加できる社会になってもらいたい。
女性で政治参加に意欲のある方にはこちらがおすすめ
「ちょうどいいブス」という呪い
これは Japanフェミニズム Advent Calendar 2018 - Adventar 3日目の投稿です。
私は顔面にコンプレックスがあり、今でも写真は撮りたくないし自分の顔が写っている写真を見たくない。
しかし体型は昔から「痩せていた」ため、そこには何の問題も感じていなかった。むしろ「太っている人は痩せることができるんだから痩せる努力をすればいいのに」とすら思っていた。
そんな自分が考え方を変えたのは全く興味がなかった『ヘアスプレー』という映画を高校の先輩達に誘われて見に行ってからだ。
『ヘアスプレー』劇中、太っている主人公は太っていることを気にしない、それでも毎日幸せそう。その姿を見て「そもそも太っていることは悪いことじゃない」とわかった。あまりにも価値観が違いすぎてカルチャーショックを受けた。
『ヘアスプレー』は太っている子をエンパワメントし、太っていない子も「太ってたって健康に影響がなければ別にいいじゃん」と思わせる力のある作品だったと思う。
それに比べて今回ドラマ化が発表された『ちょうどいいブスのススメ』は何だ。
「ブスはブスらしく男性から見てちょうどいいブスになろう!」でエンパワメントするつもりなのか。
ちょうどいいブス認定されて「酔ったらヤれる」認定されるのが現代の処世術?そんな処世術は幸せにつながらない。ヤリ捨てされてメンタルに傷がつく、あるいは避妊に失敗してしまう そんなリスクがあるのに、そこまで考えが及んでいないのか。本当に女性のためにならない価値観であり、クソバイスである。
私は自尊心が低かった。今、写真に写ることを避けるのは自尊心を守るためだ(自分は写真写りが壊滅的に悪いだけで普段の顔はそんなに悪くないと言い聞かせてサバイブしている)。人間の自尊心というものは守られねばならないものだし、「私はちょうどいいブスなんだ、それで世の中うまくいくんだ」という思考を内面化することは女芸人の提唱する流行りに乗るだけに見せた茨の道だ。
ある芸人がネタとして提唱する程度ならいい それを支持してドラマ化となると話が違う。そもそも花王が山崎ケイを起用して「ちょうどいいブス」で広告を作って炎上したことをテレビマンたちは知らないのだろうか。
知っててやっているのだろうか。炎上商法なのだろうか。ふざけんな。
ブスは何をどうあがいても侮蔑する言葉であり、『ちょうどいいブスのススメ』を見て内面化した女の子のその後は自分の中の「ちょうどいいブス」という自認に押しつぶされて悲惨な精神状態になるとなぜわからない?
私は『ちょうどいいブスのススメ』を見ないしスポンサーの商品は買わない。
それどころか今から放送中止を決めてほしいくらいである。
Yahoo!社の問題-エンジニアの中のミソジニーとホモソーシャル
これは Japanフェミニズム Advent Calendar 2018 - Adventar 2日目の投稿です。
前回の続きになるのでもし未読の方がいたら 前回 をご参照ください。
前回、エンジニアはミソジニーとホモソーシャルを内包していると書いた。
今回はそこをもっと掘り下げていきたい。
まずミソジニーとホモソーシャルの語がわからないという方は今回説明しないので
[
https://wezz-y.com/archives/48947
:title=桃山商事さんの記事]をご参照されたし。
*IT企業の中でフェミニストが見た男性エンジニアの印象
約5年に渡って身近な男性エンジニアを間近で見てきた個人的な所感では
「女性に対してフラットな男性エンジニアもいれば女性とプライベートでかかわった経験が極端に少ない(ように見える)男性エンジニアもいる」が事実だと考えている。そしてその割合は前者・後者で3:7~4:6くらい。もっとはっきりした数値を取るために統計でも取りたいところだが、それがないので自分が見てきた中で述べている。
別に女性と話すときだけどもるとかそういうわけではなく、ただ彼らのTwitterを見ているとひたすら「彼女欲しい」「結婚したい」この時期は時に「クリぼっち回避したい」というツイートが増える傾向にある(なお、彼女持ちや既婚者は女性関係のツイートが少なくなる)。
手に入れられてないと感じ、その感情をマイナスの方面に発揮しているがゆえに男性エンジニアの多くはホモソーシャル的で、ミソジニー的なのではないかと推測している。
*極端に女性との関わりが少ないエンジニアが多い理由
その理由を考えてみる。エンジニアは機械工学系の高専や専門・大学を経て高い技術力をつけ、就職する。そうした環境に女子学生は少ない。よって自然と学生時代に同年代の女性と関わる機会が少ないエンジニアがIT企業に集められてしまうのだ。
そうした部分が露骨に出た出来事として今年、某Y!のエンジニアが炎上した出来事を取り上げたい。
*Yahoo!の「女性エンジニアが少ない」炎上
別に私はY!アンチではない。事実そういうことがあったという話をしたい、それだけだ。
事のあらましは技術系LT(Lightning Talks=短いプレゼンの意)でヤフーの若手男性エンジニアが「女性エンジニアが少ないと男性エンジニアのやる気が出ないから機械学習で男性エンジニアが女性エンジニアを演じよう!」という主旨の発表を行ったところから始まり、Twitterを通じて批判が高まった結果炎上した。
この登壇者はただ機械学習でこんなことできるよーという例示をしたかっただけだが、ただただ「この例示で問題はないのか?」の判断を誤ったが故に炎上したと私は捉えている。
そしてその判断のミスは、ほかの男性エンジニアにも当てはまるのではないか と考えている。
*問題を孕むQiitaの記事
さてなぜ他の男性エンジニアという大きい主語を使ったかというと、エンジニアならみんな知ってる技術共有サイトQiitaにこんな記事があることを知っていたからである。
AIで似ているAV女優を紹介しているスケベAI「スケベ博士」を作りました。 - Qiita
Pythonでエロサイトスクレイピングして、AV女優のビッグデータからスケベなインサイトを見出す - Qiita
既にTwitterではこれを非難するツイートもあったものの、おそらく某Y!ほどには燃えていない。
とにかく言いたいのは真面目な技術共有サイトQiitaに、女性への配慮が欠落したエントリーがある、ということだ。
この例は極端なものだが、このようなエントリーがある文脈の中で生きている以上、「女性エンジニアが少ないから男性エンジニアのやる気が起きない」という内容を問題ないと判断するまでに感覚が麻痺してしまうのは仕方がない面もあると思う。
Yahoo社はこの問題を重く受け止め、今後は再発防止に努めると声明を出したが
まだ問題を起こしていないYahoo以外の会社も発生を未然に防止することに努めたほうがいいと私は考えている。
*まとめ 今読んでいる男性エンジニアに向けて
「自分はそういうことを考えても表に出さない」と今読んで思った男性エンジニア、そのままでいてほしい。思い当たるフシのある男性エンンジニア、「インターネット閲覧者の半分は女性」だと肝に銘じて自分の中のホモソーシャル、あるいはミソジニーと向き合い、今後は思慮のあるインターネットライフを送ってほしい。現場からは以上である。